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江戸時代の日本人の死生観は今とはずいぶん違っていたようです。 [アセンション]

心に青雲さんのブログに書かれていた記事を見ると、江戸時代当時の日本人はある意味
ものすごくおおらかな生活スタイルであったことがうかがえます。

今ならひんしゅくを買い、大勢の人々から非難ごうごうの声が上がりそうなものですが
江戸時代の人々には、葬式でさえ悲壮感漂うものではなかったようです。
これを読むと、さくやさんの言われることが本当であったことが良くわかります。

考えてみればイスラム国の捕らわれた二人の身代金要求動画のコラージュが日本から
大量に送られ、それを見たイスラム国の人々が日本人の常識を疑ったようですが、そこに
かっての日本人のDNAと相通じる楽天さがどこかにあるような気がします。


(ここから)

 日本人は死をおそれないし、不幸にあってもめげずに笑っている、と外国人たちは描写しているが、いったいどういうことだろうか。今日の我々の感情とあまりにもかけ離れている。

 どこからこの底抜けの明るさが出てくるのか。外人たちが間違って観察したのだ、と切り捨てたい気持ちにさえなる。この回の終わりに渡辺京二氏の解説を紹介しておいたが、それは未開だったからだ、というだけでは済まない問題ではなかろうか。

  ◆      ◆

『逝きし世の面影』(渡辺京ニ著・葺書房)より

 「日本人の死をおそれないことは格別である。むろん日本人とても、その近親者の死に対して悲しまないことはないが、現世からあの世に移ることは、ごく平気に考えているようだ。彼らはその肉親の死について、まるで茶飯事のように話し、地震や火事その他の天災をば茶化してしまう。私は長崎の町の付近で散歩の途次、たびたび葬儀をみた。中にはすこぶる著名の士のそれさえみたが、棺はわれわれの考えでは、非常に嫌な方法で担がれ、あたかもお祭り騒ぎのように戯れていた」(カッテンディーケ)

 「私が出あった葬列では、参列者が快活に軽口を飛ばし、笑い声をたてていた。死は日本人にとって忌むべきものではない。日本人は死の訪れを避けがたいことと考え、普段から心の準備をしているのだ」(ヴェルナー)

 「ある晩、大きな火事があって、翌日私は見物にでかけた。現場ではわずかな家財道具の周囲に集まった人々は、まるで祭礼ででもあるかのように微笑をうかべていた。この一夜を通じて、涙もいらだった様子もみず、また意地の悪い言葉は一言も聞かなかった。日本人はいつに変わらぬ陽気さと暢気さを保っていた、日本人の性格中、異彩を放つのは、不幸や廃虚を前にして発揮される勇気と沈着である」(モース)

 「銀座が焼けたあと、この人たちが快活なのを見ると救われる思いだった。笑ったり、しゃべったり、冗談を言ったり、タバコをふかしたり、食べたり飲んだり、お互いに助け合って、大きな一つの家族のようだった。家や家庭から追い出されながら、それを茶化そうと努め、助けあっているのだ。涙にくれている者は一人もいなかった。驚嘆したことは、あちらこちらに新しい建築の枠組が立てられていた。その進行の早さは驚くべきものだった」(ホイットニー)

 「江戸では、焦土と化したばかりの場所に日本家屋が建て直されるスピードは驚嘆に値し、比類がない。大火のあと12時間のうちに、小さな店の主人は元の場所で商売を再開してしまうのだ」(シッドモア)
 「一般には、罹災者にたいして皆が大変親切にしますし、地域全体が、家を奪われた人々を保護するために自分たちの家を開放します」(リース)

 「箱根の宿に泊まったとき、私は女中たちの奇妙な行動を目撃した。夕暮れ時になると、かの女らは池の回りに輪をつくり、手を叩いて魚を追い立てはじめた。毎晩この池の魚を人造の岩を切り開いてつくった洞くつの中に戻らせる。魚はそこで、魚をとって食べる鳥を避けて一晩中じっとしているのだという。この子どもような民族のなんと面白いことか。池の魚は人間の仲間なのだ」(ヴォーボアル)

 「桂川家はタヌキが出る家だった。祖父が夜遅く調べものをしていると、トントンと戸を叩く者がいる。『たぬか、入れ』というと、戸はすうーとあく。タヌキはときに将軍の声色をつかって『この夜更けに何をしておるかな』などという。祖父はこれには参って、『おい、それだけはよしてくれ』とあやまって、油揚をやるのが常だったという。」(山川菊江)

  ◆      ◆

 
 以下は、著者・渡辺京ニ氏の解説。

 「外国人観察者が記録した、彼らからすると奇異に思えるような日本人の生類に対する関係の基礎には、人と生類とがほとんど同じレベルで自在に交流する心的世界があった。しかし、タヌキが将軍のまねをしたり、ネコが鯛をくわえてきたりする文明は、想起に値する文明といえるだろうか。

 それは理性輝く西洋近代に照らすとき、ひとつの羞ずべき未開の文明ではないか。そうだ、明治以降の日本人はことごとくそう考えたのだ。狐狸妖怪のたぐいを信じるのはたしかに「野蛮」であった。

 そういう「野蛮」から脱却して近代化への道を歩まないでは、日本が19世紀末の国際社会で生き残ることはできなかった以上、過去は忘れるにしくはなかった。(渡辺京ニ)」

◆ ◆
 以上、紹介したような案配なのである。「日本人は貧乏だが、貧困はない」と語っていた外人がいたが、これは非常に深い言葉である。現代は日本人はまず貧乏はないが、貧困ではなかろうかと思える。貧困とは何かと定義しないで言うのもはばかられるけれど、やさしく言えば「満ち足りない思い」一般ではなかろうか。そんな感覚的なもの言いが許されるならば、江戸期の庶民は「満ち足りて」いたのであり、だから少しも不幸と思っていなかった。

 それゆえに、身近に死者が出てもそうは悲しみに突き落とされることもなく、火事にあっても鷹揚に構えていられたのだろうか。根っからの楽天的な認識が育っていたのかもしれない。
 それに、今日でも大津波の災害にあっても、私たちは互いを助け合い、明るく振る舞おうとする。江戸時代から続いている心根なのだ。

 渡辺京二氏は、「狐狸妖怪のたぐいを信じるのは野蛮」と断じてはいるけれど、そういう面は否定しないものの、それだけで決めつけていいのかどうか。
 私たちが先祖から引き継いで、災害にあっても割合早く立ち直るし、助け合うのが当たり前だし、今度の御嶽山噴火災害でも国中の人が犠牲者に胸を傷めるのも、みんな言わば地中深くに潜っているマグマのように、日本人同士がココロでつながりあっているから、ではないのか。

 狸が殿様に化けて部屋に訪ねてくる、なんてことは西洋合理主義ではバカ気果てた妄想になるだろうが、そういう愉快な嘘というか話を私たちが共有できる、そのことと、災害にも親しい人の死にも怯えない、パニックにならない強さと、どこかつながっているように思われてならない。むろん一見なんの関係もないのだけれど。

(ここまで)


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コメント 4

zep

素敵なブログ内容の記事紹介、ありがとうございます。

「どんな社会にしたいのか?」
「どんなふうに暮らして生きたいのか?」
自分の思考を方向付けるための、とても参考になる内容だと感じました。

支配者側が必死に潰そうとするのも分かる気がします。
簡単には支配できそうにありませんし。


田舎のほうには、この記事のような雰囲気は、まだまだ残っていると感じます。
日本から、地球全体へ広がっていくイメージを思考してみます。

by zep (2015-01-25 09:29) 

ada755

zep 様

コメントありがとうございます。
確かに田舎の方ではまだ残っていますが、昔ほどではないでしょう。
しかし、それでも葬式の後の会食はそれほどしんみりしてはいないですね。時々笑い声がこだまするようなときもあるので、いたってみなさん当たり前のように受け止めています。
だから、いつまでも亡くなった人を思い悲しみに暮れるということはないですね。きれいさっぱり忘れてしまっているようなところがあります。それが普通なんでしょう。




by ada755 (2015-01-29 16:07) 

ファースト

日本人の死生観は、諸外国とかなり違うと思います。今では世界の中では、長寿大国ですが100年前位までは、人生50年と言われていたので
日々の暮らしを大切にしていたから、いつ死んでも悔いがない位の覚悟と姿勢で生を全うしていたのだと思われます。その姿勢が今の日本にも色濃く残っているから世界から見れば日本人は、礼儀正しいとかの良い面が写るのだと私は思います。
それと恥かしく生きるなら綺麗に死ぬことこそ日本人の誉れ!みたいな時期も長く続いたからこそ、第二次大戦の時、特攻部隊や集団自害が
横行したのだと私はおもいます。その名残か自殺者は世界1位です。
無様に生きるより綺麗な死を勘違いして自殺する方がいます。
これも日本の負の遺産だと思います。

by ファースト (2017-02-13 17:14) 

ada755

ファースト 様

確かにそのような日本人の特性があるだろうと思います。それでも今はだいぶ薄れたように思います。清き死を望む前にもう一度自分自身をありのままに生きるという考え方に変えると日本人もずいぶんと変わるのではないかとも思います。


by ada755 (2017-02-16 21:47) 

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